電気工事士のキャリア
電気工事士とは工場などで電気設備の設置工事を行う人です。
キャリアを積み重ねるにあたり、誰もが知識・経験ゼロの状態からスタートします。
電気工事士見習い
まずは「電気工事士レベル1」からのスタートです。同時に「建設業界人レベル1」でもあります。
電気工事士としてのスキルを身につける前に、工具の名前や電気の基礎知識を覚えます。
学校で習った「オームの法則」は、「こんなものいつ使うのか?」と思っていたかもしれません。しかし、ここでその知識が生きてきます。
また、建設業界人として、建築業界の用語や現場でのルールにも馴染んでいきます。
スキル習得の開始
会社の雰囲気に慣れたら、いよいよ電気工事士としてのスキルを身につけ始めます。最初は、丸まった電線を伸ばしてほどくことすら難しいでしょう。ひとつずつ覚えていくことが大切です。
職人
職人とは一人前の電気工事士です。
作業指示を受けて、誰にも相談せずに一人で仕上げられるようになれば一人前といえるでしょう。このステージで目指すのは自分の作業を「正確に」「きれいに」「すばやく」でこなすことです。
もちろん、すべてを完璧に満たすことは難しいため、各個人で重要度のバランスを決めることになります。この割り振りが個性となるでしょう。しいて和田電気工事の理想をあげるなら「正確に:5」「きれいに:3」「すばやく:2」の割合です。
職人になるまでの時間
以前に比べ、職人になるまでの時間は短くなりました。昔は「ワシの仕事をみて覚えろ」というような人もいましたが。現在は指導が充実しており、きちんと学ぶことができます。
また、近年では「職人」という呼び名よりも「作業員」と呼ばれることが多くなっています。工具の進化や材料の改良によって、少しずつ仕事の難易度が下がっているため、昔ほど高度な技術が必要とされなくなっていることも影響しているでしょう。
職長
職長とは、職人をまとめるリーダーです。
職人たちに作業指示を出すだけでなく、他業種との調整、次の工程の検討、材料の選定・準備などを行います。
役割の変化
職長になると、「自分の作業がどれだけ進んだか」ではなく、「現場全体の作業がどれだけ進んだか」が成果として求められます。
例えば、電気工事を進める際、他業種と調整し、作業スペースを確保することが重要です。同じ部屋で大工や水道業者が同時に作業を行うと、お互いの仕事が進まないため、事前の調整が必要になります。
さらに、次の工程に必要な材料を揃え、不足しているものを早めに注文することも職長の重要な仕事です。材料が足りないと作業が止まり、職人の力を十分に発揮できなくなってしまいます。
代理人
代理人とは、工事の注文を受けた和田電気工事の代表である社長に代わり、工事を管理する役職です。正確には「現場代理人」と呼ばれます。
職人から代理人へ
このステージに進むことは、ほぼ転職に近い変化です。職人としては工具を手に仕事をしていましたが、代理人はペンとマウスを手にして業務をこなします。
大手の工事会社では代理人補佐からキャリアをスタートする場合もありますが、和田電気工事では代理人志望の人にもまずは現場を経験してもらいます。現場経験を積むことで、必要な資料や円滑な進め方を把握でき、代理人としての仕事の質が大きく向上するためです。
代理人の仕事
お客様の要望をくみ取り、最も安全かつコストを抑えながら実現する方法を検討します。そのうえで仕様を決定し、職長や職人が作業できるように図面を作成します。
また、工事の設計も担当するため、職長以上に専門的な知識が求められます。
最後に
キャリアアップの道として、見習いから代理人までの流れを紹介しました。給与面ではこの順で高くなる傾向がありますが、見習いを除き、各ステージで「この作業なら誰にも負けない」と言えるほど極めれば、相応の報酬を得ることも可能です。
代理人を目指さなくても、職長としての仕事を極めるのも一つの選択肢ですし、職長よりも黙々と作業を進める職人として技術を磨く道もあります。
電気工事士の仕事は国家資格にもなっており、高い専門性が求められます。しかし、誰もが知識ゼロからスタートし、経験を積みながら成長していくものです。どのステージにいても、新しいことを学び続ける姿勢が大切です。
時代とともに働き方は変化していますが、丁寧な仕事と誠実な姿勢はいつの時代も変わりません。少しずつできることを増やしながら、一歩ずつ前へ進んでいきましょう。