電気工事士のお仕事4 分電盤編

 前回の記事では、和田電気工事でよく見られる新築工事で電気工事をするときの主な作業について照明工事を紹介しました。今回は、分電盤にスポットをあて、できるだけ専門用語を使わずわかりやすいよう、ある意味誤解を恐れずに、ちょっとだけ詳しく説明します。


分電盤とは

 分電盤とは、その名の通り電気を分ける装置です。住宅に設置される分電盤は「ホーム分電盤」と呼ばれ、昔のアパートでは玄関付近に設置されていましたが、現在では脱衣室に設置されることが多いです。一般住宅でも脱衣室に設置されていることがよくあります。


分電盤の中のブレーカー

分電盤の中には、主に2種類のブレーカーが入っています。

1. 主幹ブレーカー

電柱から引き込まれた電線が最初に接続されるブレーカーです。このブレーカーで、その建物で使用できる総電流を決定します。例えば、30Aの主幹を設置した場合、その建物内で合計30A以上の電流を使用すると、主幹が自動的にOFFになり、それ以上の電流を使用できなくなります。

 実例として、エアコン(10A)とこたつ(10A)を使用している状態で電子レンジ(13A)を動かすと、10A + 10A + 13A = 33Aとなり、30Aを超えるためブレーカーが落ちるという仕組みです。実際にはもう少し複雑ですがざっくりとこんなイメージです。

2. 分岐ブレーカー

 子ブレーカーとも呼ばれ、1つの分岐ブレーカーが1回路を担当します。通常、20Aのブレーカーが取り付けられ、接続された照明や家電が故障してショートした場合に電線を保護するためのものです。

 ただ、日本の家電は優秀なので、ショートなどのトラブルは滅多にありません。分岐ブレーカーが落ちる時は、1つのコンセントからたこ足配線をして電気を使いすぎた場合がほとんどです。


工場の分電盤

工場に設置される分電盤は、使用する電気量が多いため、電線もブレーカーも分電盤自体も大きくなります。例として、最近工場に取り付けた分電盤の箱は幅60cm、高さ180cm、奥行20cmで自立します。


和田電気工事の分電盤作業

和田電気工事の分電盤作業では、まず分電盤を地面にまっすぐ固定することが重要です。一見簡単そうに見えますが、実際には難しい作業です。分電盤が大きいのに対し、狭いところに設置場所しなければならないことが多く、普段から操作するものではないため、邪魔にされ端に配置されがちです。

また、分電盤は重いため、思うように動かせず数人で息を合わせて動かします。さらには地面がまっすぐに見えても実際にはまっすぐでないことが多いため、高いところに合わせて低いところに詰め物をして高さを揃えます。まっすぐに設置できたと思っても、隣にもう一つ同じサイズの分電盤を設置した際に高さが1ミリずれてやり直しになることもあり、1つ設置するだけでも1日かかることがあります。


結線作業

分電盤の設置が完了したら、次に結線作業に移ります。分電盤の回路が50回路あれば、電線も50本あり、それぞれを1本ずつ接続していきます。20番ブレーカーには20番の番号が書かれた電線を接続するなど、決められた場所に正確に接続する必要があります。

また、「きれいに」接続することも重要で、これが電気工事士の腕の見せ所とされています。電気工事の内容は見えにくい部分が多いですが、分電盤の中身は隠されたものを見ようとしたときに一番見やすい部分です。分電盤の中の配線が汚いと、工事全体が汚いと思われてしまうため、電気工事を真面目に丁寧に行うことはもちろん、分電盤の結線は展示品のつもりで仕上げます。


電気工事士に向いている人

このように、自分の手できれいに仕上げられる人は電気工事士に向いています。手洗い洗車が好きな方、プラモデルを塗装する方、イラストを描く方など、電気工事士に挑戦してみませんか?


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